ウリムーロール
わたしはパンが好きだ
とても覚えていることがある
ロールパンのこと
わたしはミッション系の幼稚園に通っていた
宗教的なものはなにもなく、
ただ家から一番近い幼稚園だったので
本当は、親の話によると、
幼稚園にいかさないでおこうと思ったらしい
義務教育ではないし、お金があまりないときだったので
わたしは、幼稚園というものは、
なんかこう
選ばれし者がいくんだと思っていた
当時ね当時
そして、検討した結果、
ミッション系の幼稚園に1年通うことになった
近所にこの幼稚園に通い、小学校にあがった子がいるおうちがあったので、
幼稚園にきてゆくスモックや、
カバンを貰いにいったのを覚えている
通い出してしばらく…
なんだか幼稚園にいきたくない気持ちになった
そのときわたしは、
道端にある砂箱に隠れていた
道路が滑らないように、ところどころに砂が置いてある
その中のひとつに隠れていた
時間をやり過ごそうとしたのではなくて、
ただ、イヤで身を隠した
毎日しらない人にお祈りするのも、
イヤだった
やりたくないのに
でもいったら父と子と聖霊のみなにおいてアーメンしないといけない
聖書も子供用のをみんなで読む
わたしにはキリストはわがままな人に思えた
キリストはどっかの村にふらりといった
一生懸命せったいしてるおねえさんがいる
妹はキリストの話だけきいている
おねえさんばっかり動き回って、
妹は話をきくだけ
少し手伝ってといったおねえさんにキリストは妹のほうがえらいといった
わたしは思った
キリストがしてほしいのは、
身の回りの世話やごはんの用意やおふろの準備じゃなくて
話をきいてほしいんだって
でもおねえさんがとてもかわいそうに思えた
ほかにやる人がいたら
おねえさんも話をきいただろうに
キリストは人の気持ちのわからない人だなあって
そのとき思った
後で大人になってから聖書を読み返してみたら前とは違い、
キリスト自身の言うことに伴う行動は納得できるようになった
キリストが猫だとしたらキリストきょうは猫の媚態を真似る人間だ
猫の媚態は猫だけのもので
真似ることは滑稽だし、なにもくすぐられない
いまなら言葉で説明できるけど、
あの頃はなんかイヤだなあ…としか説明できない
だから、説明できないまま、
砂箱からたぶん見つかり、(見つかったときはよく覚えていない)
幼稚園に連れて行かれた
園長先生はグリーンランドの人で、
銀髪をシニヨンにまとめた碧の目の女の人だった
どうしてきたくないの?って園長先生はきく
わたしはうまく説明できなかった
そうしたら園長先生は、
明日はね、みんなでパンをつくります
一緒につくろうね
と、にっこり笑ってわたしの手を握った
しわしわでツルツルして少しひんやりした手で
次の日、
みんなでロールパンを作った
園長先生はずっと横にいる
パンをこねたり伸ばしたり
形を整えて大きな釜で焼く
その幼稚園は釜とか
礼拝堂とか
井戸とか
なんか普通の幼稚園にない変わったものがたくさんあったんだ
○○ちゃんの好きなものはなに?
園長先生はパンを焼いて待っている間、わたしに話かける
お祈りをするときはね、
好きなものを思い浮かべるの
好きなもののために祈るの
それでいいのよ
わたしは毎日のお祈りがイヤで
意味わかんなくて
キリストのことを敬いたくなかったけれど、
それからは園長先生のことを思い浮かべてお祈りをした
ほかに好きなものもあった
でも、お祈りしなくても好きだ
お祈りする必要がない
ここでお祈りするときは、
させられている
それでもしなければならないとき、
この場所にいるときは園長先生にお祈りしよう
園長先生に誓おうって思ったんだね
焼きあがったパンはとても甘い
ロールパンは甘いんだ
鼻から抜ける焼きたての香り
匂いがまだ鼻孔にこびりついてるかのように思い出せる
小さな
まるでホントにウリムー
いびつなパンはとてもとてもおいしかった
今でも自分の神様がいる
自分だけの神様
人に押し付けられた神様には祈れない
そして
あれ以上「おいしい」と感じるパンにも出会ってない
おいしいパンはたくさんある
今もパンが大好き
でも匂いと記憶がガッチリつながってるパンはあれだけだ
自分の神様をみつけられた
そんなきっかけを
子供たちにあげられたら
すごく幸せだろうな
わたしが幸せになる
今だからわかるよ
キリストのいった言葉
人に与えることのできるものは幸いだって
まー押し付けがましいけどね
とても覚えていることがある
ロールパンのこと
わたしはミッション系の幼稚園に通っていた
宗教的なものはなにもなく、
ただ家から一番近い幼稚園だったので
本当は、親の話によると、
幼稚園にいかさないでおこうと思ったらしい
義務教育ではないし、お金があまりないときだったので
わたしは、幼稚園というものは、
なんかこう
選ばれし者がいくんだと思っていた
当時ね当時
そして、検討した結果、
ミッション系の幼稚園に1年通うことになった
近所にこの幼稚園に通い、小学校にあがった子がいるおうちがあったので、
幼稚園にきてゆくスモックや、
カバンを貰いにいったのを覚えている
通い出してしばらく…
なんだか幼稚園にいきたくない気持ちになった
そのときわたしは、
道端にある砂箱に隠れていた
道路が滑らないように、ところどころに砂が置いてある
その中のひとつに隠れていた
時間をやり過ごそうとしたのではなくて、
ただ、イヤで身を隠した
毎日しらない人にお祈りするのも、
イヤだった
やりたくないのに
でもいったら父と子と聖霊のみなにおいてアーメンしないといけない
聖書も子供用のをみんなで読む
わたしにはキリストはわがままな人に思えた
キリストはどっかの村にふらりといった
一生懸命せったいしてるおねえさんがいる
妹はキリストの話だけきいている
おねえさんばっかり動き回って、
妹は話をきくだけ
少し手伝ってといったおねえさんにキリストは妹のほうがえらいといった
わたしは思った
キリストがしてほしいのは、
身の回りの世話やごはんの用意やおふろの準備じゃなくて
話をきいてほしいんだって
でもおねえさんがとてもかわいそうに思えた
ほかにやる人がいたら
おねえさんも話をきいただろうに
キリストは人の気持ちのわからない人だなあって
そのとき思った
後で大人になってから聖書を読み返してみたら前とは違い、
キリスト自身の言うことに伴う行動は納得できるようになった
キリストが猫だとしたらキリストきょうは猫の媚態を真似る人間だ
猫の媚態は猫だけのもので
真似ることは滑稽だし、なにもくすぐられない
いまなら言葉で説明できるけど、
あの頃はなんかイヤだなあ…としか説明できない
だから、説明できないまま、
砂箱からたぶん見つかり、(見つかったときはよく覚えていない)
幼稚園に連れて行かれた
園長先生はグリーンランドの人で、
銀髪をシニヨンにまとめた碧の目の女の人だった
どうしてきたくないの?って園長先生はきく
わたしはうまく説明できなかった
そうしたら園長先生は、
明日はね、みんなでパンをつくります
一緒につくろうね
と、にっこり笑ってわたしの手を握った
しわしわでツルツルして少しひんやりした手で
次の日、
みんなでロールパンを作った
園長先生はずっと横にいる
パンをこねたり伸ばしたり
形を整えて大きな釜で焼く
その幼稚園は釜とか
礼拝堂とか
井戸とか
なんか普通の幼稚園にない変わったものがたくさんあったんだ
○○ちゃんの好きなものはなに?
園長先生はパンを焼いて待っている間、わたしに話かける
お祈りをするときはね、
好きなものを思い浮かべるの
好きなもののために祈るの
それでいいのよ
わたしは毎日のお祈りがイヤで
意味わかんなくて
キリストのことを敬いたくなかったけれど、
それからは園長先生のことを思い浮かべてお祈りをした
ほかに好きなものもあった
でも、お祈りしなくても好きだ
お祈りする必要がない
ここでお祈りするときは、
させられている
それでもしなければならないとき、
この場所にいるときは園長先生にお祈りしよう
園長先生に誓おうって思ったんだね
焼きあがったパンはとても甘い
ロールパンは甘いんだ
鼻から抜ける焼きたての香り
匂いがまだ鼻孔にこびりついてるかのように思い出せる
小さな
まるでホントにウリムー
いびつなパンはとてもとてもおいしかった
今でも自分の神様がいる
自分だけの神様
人に押し付けられた神様には祈れない
そして
あれ以上「おいしい」と感じるパンにも出会ってない
おいしいパンはたくさんある
今もパンが大好き
でも匂いと記憶がガッチリつながってるパンはあれだけだ
自分の神様をみつけられた
そんなきっかけを
子供たちにあげられたら
すごく幸せだろうな
わたしが幸せになる
今だからわかるよ
キリストのいった言葉
人に与えることのできるものは幸いだって
まー押し付けがましいけどね
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