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チェンジリング

この映画を観たのはだいぶ前になるが
感情や想いはあるのにそれをどう現していいか
心に残った映画であるけれど
これについて書きたい衝動があっても、なかなか書けなかった作品

なにかに命令されるように
心や体が動くという経験がある
それは衝動や本能と言われたりする
ロゴスがなんの堰にもならない衝動

この物語を観たとき
まず自分の気持ちがどこにあるのか
はっきり言えない状態だった
喜怒哀楽
この中のどこかにかかる感情ではあるけれど
的を射ていない
中心部分にはなにか違うものがあり、
その端々が哀や怒にかかる

自分の子供が誘拐され、見つかったと連絡があって帰ってきた子供は見知らぬ子供だった
周りの人や警察がその子は間違いなくあなたの子供だ、と言う
自分の子供じゃないということを信じてもらえない
大きな権力と相まってこの母親の主張は封殺される
それでも自分の子供ではないと確信のある母親は自分の子供を探し続ける
アメリカで実際にあった事件を題材にしたお話

この母親が強いとか
親子愛とか
絆とか

それよりもわたしが感じたのは支配だ
制作者の意図するところと違うものを感じているかもしれないそれは不明
でもわたしが強く感じたのは、なにかに突き動かされるように進む行動
強いからできるのではなくて
精神力があるからできるのではなくて
どうしようもなく支配される
脳に、細胞に命令がくる
それは息を吸うことをやめないように
自律神経で支配された命令なのだ

あきらめるということ
忘れるということ
人が生きてゆくのにどちらも否応なしに関係してくる
いつまでも過去にとらわれないで…という意見は
理性では理解できる
探し続けることは不毛であるかもしれない
これからの自分の幸せを考えて…というのも
わかるが
違うのだ

息をするように
自分では心臓の鼓動を自由にとめられないように
どうしようもなくその行動しかできない
子供がみつかるまで
子供の遺体がみつかるまで
この自律神経で支配された行動はとめられない

わたしは観ながら
自分にもこの命令がくるだろうと思った
強くはないし精神力もさしてないし
お金もコネも力もないが
権力に反発し探し続けることをやめられないだろう

気づいたら考えている
自分のコントロールが及ばないところで
決着をつけたいがつけたくない想い

人は
夢をみる
可能か不可能かを併せても100%にはならない
可能でも不可能でもない領域、シュレティンガーの猫
不確定要素がはいって100%になる
その不確定要素の部分で夢をみる
願望や希望はそこに詰まっていて、
母親が子供を探し続け、生死を突きとめるその行為は
不確定要素をなくすものである
夢をみられなくなってもその行動をとめることはできない
これは細胞に直接くる命令なのだ

終盤、
犯人が捕まり、母親が犯人を問い詰めるシーンがある
息子を殺したのか殺していないのか
何をしたのかどういう状況だったのか
犯人は不確定要素を心にしまったまま逝った
彼女に希望と絶望を残して逝ってしまった

その後、探し続けている息子と一緒に逃げたという子供が
遠く離れた場所でみつかる
わたしがこの作品の中で希望と感じている箇所
殺されるかもしれない場面で逃げ出そうとしているときに
この息子はどういう行動をとった子供であったか、という部分だ

見つけ出された子供は、
自分だけが逃げおおせたことを恥じるように
ポツリ、ポツリ、と話し出す
母親が探し続ける息子は、自分の身の危険がせまっていても一緒にいた子供を逃がした
実際、このとき一緒に逃げた子供はこうして見つかり、生きている
わたしの言う希望というのは、
この息子も生きているかもしれない、ということよりも
彼が他の子供を逃がしたという話をこの母親がきけたことだった

助かることを考えてほしい
自分も逃げられることを考えてほしい
他の子を逃がしていなければ逃げられたかもしれない
なぜ…どうして…と思いながらも
自分だけ逃げようとしなかったこの息子は
母親が今まで探し続けてきた行動と、これから探し続ける行動を支える希望なのだ
わたしにはそう思える

この作品はグラン・トリノと同時期に観賞した
二作品とも好きな作品
そして二作品ともなかなか感想を形にできなかった作品

グラン・トリノは雨上がりの虹をみたような気持ちになる
そしてこのチェンジリングは
自律神経の命令に自分も支配されるだろうことを思う

でも
それに従うことは
本意である
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| 映画 | 01:23 | comments:6 | trackbacks:1 | TOP↑

COMMENT

オッハー(*^o^*)/

ぷサンは最近がっちり長文ょネ☆
細胞の反応の話好きョ
ぷサンの長文大好き~e-51
でもつぶやきもみたぃン( ´艸`)
ぷサンのつぶやき面白ぃモンw
けぃこは欲張りなのョv
あとネー、仁義なきシリーズの続きや魚とネコも見たぃe-266
barもお休みだしつまんなぃの~e-443
けぃこグレて鉄男の仲間になっちゃぅョw

| けぃこ | 2011/09/05 10:06 | URL | >> EDIT

あー!!

これ見たかったの思い出しましたー!!
そうそうこんな題名でした!
ありがとうございます。

探すことで自分の生きる意味とするのかな、
探さないといけないから生きなきゃ!
みたいな。

まあみてないのでふわふわしたことしかいえませんが笑
見たいとおもいますー


シュレ猫は言葉あそびみたいにおもえるのですが、
立派なやつなんですよね?

理解しようとして考えると頭いたくなって終了です笑

| モラン | 2011/09/05 22:25 | URL |

けいこちゃん

> ぷサンは最近がっちり長文ょネ☆

はい
長文です
長宗我部ですうそ


> 細胞の反応の話好きョ
> ぷサンの長文大好き~e-51
> でもつぶやきもみたぃン( ´艸`)
> ぷサンのつぶやき面白ぃモンw
> けぃこは欲張りなのョv

欲張りだな~


> あとネー、仁義なきシリーズの続きや魚とネコも見たぃe-266
> barもお休みだしつまんなぃの~e-443

再開したね
なんだかよくわからない戦利品を携えて再開
どーなってんの


> けぃこグレて鉄男の仲間になっちゃぅョw

鉄男なら安心だ

| おくやぷ | 2011/09/09 08:06 | URL | >> EDIT

モランさん

> これ見たかったの思い出しましたー!!
> そうそうこんな題名でした!
> ありがとうございます。

おお
みたかったのですか
最近のアンジェリーナ・ジョリーで一番いいな…と思いましたこれ
まあ比較対象がソルトとかカンフーパンダなんですけど


> まあみてないのでふわふわしたことしかいえませんが笑
> 見たいとおもいますー

ざっくり言うと、息子を探す話です←ざっくりすぎ!
実話ベースで、禁酒法時代のアメリカなので時代背景は荒れてますよ


> シュレ猫は言葉あそびみたいにおもえるのですが、
> 立派なやつなんですよね?

言葉遊び
と、感じるのは当然の感覚だと思われます
机上の空論です
だがしかし
何が違うかというとサイエンティストたちは他の人がアホだな…と思う説や論を
「実証」しようとするところです
もちろんマジです
あの人たちはマジだ
だから本人たちは決して遊んでるつもりはないんじゃないかな
そうやって科学が発展してきたんだね~
わたしもわからんですよ
このシュレ猫は未だに誰もが納得する説がないからね
超ひも理論くらいわかんねーわw

| おくやぷ | 2011/09/09 08:15 | URL | >> EDIT

こんばんは♪

母親にとって何が希望となり得るのか。
生きている可能性、その片鱗がわずかでも伺えた時はもちろんですが、おっしゃるように“その時”に息子がどう行動したかも、それが他ならぬ我が子だからこその希望になるのでしょうね。
圧倒的な支持を集めた『グラン・トリノ』と同年公開ですが、私はこっちのほうが好きです。

| SOAR | 2011/12/31 01:25 | URL | >> EDIT

SOARさん

こんにちは^^

圧倒的な力により、自分が何もできない状況のときが
虚構にしろ現実にしろあると思います
そのときにどうするのか
何も起こらない時間を過ごしていれば、自分の力の無さに気づきづらい日常を送っていたのでしょうが、事が起こって権力に対抗する力が今無いことに気づく
でもそこからが、アンジー演じる母親の、この作品の何かが心に響くところでした
何も起こってない日常からみたら辛い出来事なのです
でも、どこかしら希望を感じる
わたしはとても感じました


> 圧倒的な支持を集めた『グラン・トリノ』と同年公開ですが、私はこっちのほうが好きです。

グラン・トリノは雨降って地固まる的な雨上がりの虹をみたような気分になったのです
チェンジリングはもっと何かを続けていく辛さを受け止める強さ覚悟をみました
この2作品の明らかな差は性差でもあるような気がしています

男を主役としたグラン・トリノ
死によってカタをつけましたね
それは本人の望む終わり方でもあったし、(作品中にも出てきますが、カソリックは自殺ができないので自ら死を選ぶことに堰があると思うし、そう表現していたと思います)
自殺ではない死
それでも自ら選んだ方法です

女を主役としたチェンジリングは辛いまま生きてゆきます
その辛い中にも希望をみつけて生きてゆく

物語もそれぞれ違うので、断定できるものではないですが、
わたしは2作品を観終わった後、
男は死んで、女は生きるのだな…などど
ふ、とですね
思ったのでした

| おくやぷ | 2011/12/31 13:50 | URL | >> EDIT















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