はやぶさ 遥かなる帰還 【映画】
今回は渡辺謙主演、瀧本智行監督
いつもこういう情報は書かないのですが、はやぶさはカオスなので記載
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第1弾「はやぶさ -HAYABUSA BACK TO THE EARTH-」
46分ドキュメンタリー 監督: 上坂浩光
第2弾「はやぶさ/HAYABUSA」
140分 人間ドラマ 監督: 堤幸彦
はやぶさの打ち上げのシーンから映画は始まる
今回のはやぶさは打ち上げまでの詳細については省き、
渦中のはやぶさに関わる人間模様に特にスポットがあたっている
冒頭からまたもや貧乏がつきつけられる
椅子はボロボロ
設備は古い
配線保護カバーの修理はガムテ
アメリカから打ち上げのカウントに参加したNASAの面々は、
ちらっとボロい椅子に視線を落とす
実は、ドキュメンタリーのはやぶさでは、
貧乏であることは一切語らなかった
だからこそ、余計に(イオンエンジンにしろスイングバイにしろ)
語らずに感じる貧乏にむせび泣いたものだ←わたしが
武士は食わねど高楊枝
その中で、はやぶさのしぶとさが際立ち、技術者の健気さが垣間見える
そんな作品だった
昨年10月公開の堤監督版はやぶさは、貧乏が明るく語られていた
それをみて(ああやっぱり貧乏なんだな)と確信しつつ、
それでも貧乏に関しては、狭いながらも楽しい我が家といった風情だ
とにかく、このプロジェクトに関わる人間が、ネガティブ思考をあまり前面に出さず
楽しい作品になっていた
今回のはやぶさ
とても悶々している
わたしはこの悶々が良い、と感じた
技術者でも芸術家でも
なにかを作り出す、という作業をしている人は
並々ならぬこだわりがあるものだと思っている
映画という産業になぞらえて言うならば、最近は漫画にしろ小説にしろ、
原作アリのものをよく映画化しているが、原作者はその出来に言いたいこともあろう
ファンでさえある
産み出した人たちの思い入れは、いかばかりだろうか
今回はそんなぶつかり合いがスルーされることなく描かれている
イオンエンジンを開発する担当の人間が、イオンエンジンの運用で
本来の運用とは違う使い方をすることについて、周りと衝突していた
ただ和を保てばいいのか
それは違う、とわたしは感じる
エンジンの一基ごとに名前をつけるほどの思い入れを描きながら
自分を曲げて引き下がるだけでは、感じられない
その想いを感じられない
「後悔したくないですね」
「どんな批判にも耐えられます。リスクから逃げたら一生後悔します」
これはプロジェクトマネージャーの言葉であるが、
曲げられない想いは一緒なのだ
同じように、
開発した者にも、譲れない想いや事情があったろう
だから当然ぶつかる
でも
だれもが、はやぶさが戻ってくることを望んでいる
「はやぶさが待ってます」
だから同じ方向に顔を向けるのだ
どんなに嫌いだな、と思う人間がいたって、ボヤいたって
みんな同じ方向をみているから、ぶつかっていいのだ、と私は思った
だいたい人間なんて
ほんの些細なことでボヤくもんで
天気ひとつにしても雨が降ったの晴れ過ぎだの雪が降っただの
どうなれば満足なんじゃいと思うほどボヤく人がいる
そこを
くっと我慢したら第1弾ドキュメンタリーの作風で、
前向きに楽しいこと考えよ♪となったら第2弾、堤監督の作風で、
やってられっか!うおーー!でもやるわ…となったら今回のはやぶさの作風
みんな、こだわりがあるし、
みんな、後悔したくない
だから「俺のイオンエンジン」、「俺のカプセル」で
いいと思う
それでもみんな、はやぶさにおかえりと言いたいのだから
それは一緒
立場の違いもあり、鬱屈した感情もある中、
はやぶさをなんとか帰還させようと全員がそれぞれ心血を注いでいる
ボヤきぐらい聞きますわ
これ
ある店のモスの看板

これがただのボヤきだ!
普通、この後に、「だから暖かいミネストローネであったまってくださいネ」とか
商品すすめてくるもんだろう
なのに「イヤになります。」で終わるとか
めちゃくちゃボヤいてるだけ!
でも、いいんだよ
それでいい
リスクから逃げない
きれいなだけじゃない感情から逃げなかった
そう感じた映画
そして崇高な想いも感じる
人間には割り切れないことがたくさんあるんだよ
はやぶさの映画に共通して感じるのは、
このプロジェクトは、成功したからこそ報われた、ということ
映画の中で、藤竜也演じる宇宙研の協力室長が、
宇宙開発に(対外的に失敗と認識されても)失敗はない、と言う
それが必ず次に繋がる、と
確かに
もちろん
でも、ここまで注目されたのは成功したからだ
わたしたちが「はやぶさ」の開発や偉業ほどに
火星探査機「のぞみ」のことを知っているか、否
同じだけの年月を費やし、同じだけの情熱も費やし
それでも注目されづらいのは失敗したからで
宇宙をやっている人たちが一般人にここまでやってきたことを認識され浸透したのは
はやぶさの成功があったから
創りだした人たち、プロジェクトに関わった人たちが日の目をみる日が
日本の技術力を知らしめる日が
この成功のおかげでやってきた
成功しなければ、いち協力者の爪の黒さに涙することはなかった
前回も書いたが、日本は浪漫にはなかなか金を出さない
悶々しながら順繰りだったり遣り繰りだったり
ぶつかって主張しあって同じ方向をむく
その結果が実を結んで、この多幸感がある
はやぶさのことを考えるときに、切ないけれど幸せな気持ちになる
これで3作目のはやぶさ
それぞれ、良い部分がある
はやぶさは各人のマルチアングルで何作もつくれそうな題材だなあとつくづく思う
ちなみに
わたしの泣きの順番は、
「はやぶさ -HAYABUSA BACK TO THE EARTH-」監督:上坂浩光
> 「はやぶさ 遥かなる帰還」監督:瀧本智行監督
> 「はやぶさ/HAYABUSA」監督:堤幸彦
です
好きな順番は難しい
今回の作品で悶々がいい、と書いた
もうひとつ好きな場面
NASAが支援を打ち切ると言った時のプロジェクトマネージャーの押し
アメリカに好き勝って言わせんな!押せ!
心胆寒からしめん、日本のスピリッツをみせてやれ!
と、わたしが熱くなっておりました
あのやりとりは、よかった
バーサーカーモードはいりました←わたしに
今度は3月
次はどんな切り口でしょうか
楽しみです


おまけの羅列
・ピエール瀧がすき
・タコ食ってないでトロくえよ←タコのほうが旨いじゃん!
・発射からスイングバイまで~ スイングバイからイトカワまで~ はやいな
スペースバトルシップヤマトがイスカンダルに着くほどにはやいな
「SPACE BATTLESHIP ヤマト と ぷぁイオリズム」
・マリリンはシャネルの5番だけまとっていれば、いいんじゃない
・イオンエンジンでもめてたときに、
パッと立ち上がってすぐにお茶を入れだした彼、好感持ちました
ぶつかりあっていい、と本文に書きながら、ああいう人がいることもありがたいことです
そして、「それ以上言っちゃいかん」という人も
いろんな人がいて、いろんな想いをクロスさせて、この偉業があるのですね
・映画をみているときに、
隣の隣の席の人が、始まって10分くらいでいびきをかいて寝だした!
はやっ
眠かったんだろうか
空いていたので、一番後ろの席からずっと前の方の席に移動し、座り直して映画に集中した
バーサーカーはいるほど集中していた
スクリーンを出ると、映画館の責任者が、
「いびきをかいて寝ていた人がいたそうで…集中して観られない環境で、申し訳ありません」
と、特別鑑賞券をくれた

大きないびきをかいていた人がいたでしょう、と言われ、
え、どうして知ってるんですかと尋ねたところ、他の客からクレームがあったそうだ
ぷさんは早々に前の席に退避していたので
バーサーカーモードはいるくらい集中できていたのですが
もらえるならもらいます
ええ
これで「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」みちゃおっかな~
長い長い
そう思って車に戻ると、男の人が話しかけてきた
「足止めさせちゃってすみません」
なんのことだべと思っていたら、
自分がクレームをつけたために、そのとき観ていた人をひきとめて特別鑑賞券を配ったので、
帰るのが遅くなって申し訳ない、と、駐車場で暖気しながら謝っているそうだ
こちらこそ、クレームを言うリスクから逃げて前の席に避難しまして
いやな役回りをさせてしまってすいません、ありがとうと思いました
ありがとう
ブログみてないだろうけど
そんなペイフォワード…というか
阪急電車片道15分的な夜でした
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ボヤキキターv
この表情が素敵v
チケット貰えたの
誠実な映画館でよかったネ
阪急電車な夜ならレバー痛くなってなぃ?
ぷサンだいじょぅぶ~?
もぅネ、はやぶさはたくさんあってどれがどれかわかんなぃョ
| けぃこ | 2012/02/16 13:23 | URL | >> EDIT