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ぼろぼろのじちょうかちょう ~放浪記5~

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2008年4月~5月
北海道より車で南下、名古屋までの放浪記
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ちえこちえこああちえこ

うちら親子の見解。
高村光太郎 という人は緩やかに静かに狂っている・・・と感じている人です。
ちょっと語弊がありますが。

まあつまりこの人は、ちえこだけが自分が外界と接する理由だったのです。

あの世界に進んで望んで入っていったのだろう。
ちえこの心が病んでいったときもそれさえ嬉しく思ったのではないか・・・などと思ってしまいます。
ちえこが自分だけを見る世界。
そんな高村がちえこを失った後移り住み、7年暮らした場所。
そこが高村山荘です。


最初にお断りしておきますと、とった写真がなぜだかないので
画像はこの2つのみです。さわやかトイレと自画像。

※だったんですが、あんまり寂しいので追記しました。パンフレットの一部です。

10062078933_s.jpg
さわやかトイレ

高村山荘は小屋を保護するためにその外側をくるむようにさらに小屋をたてています。
10062098558.jpg
ちえこの切り絵なども展示されていますよ。


この人の書物を読むと実感しますがこの人は一体どんだけ智恵子なのか。
いつでもこころはちえこへ
わたしよりも娘のほうが高村に傾倒しています。
もう真剣で写真を撮っているような状況でなくがっつり見入っています。

ちえこが死んだ後は抜け殻のようだった高村。
「ちえこはまだ死んでいないのに、まわりの人間が死化粧をしたり、
棺にいれたりしてどんどんちえこを死人にしてゆく。」
そんな書も残しています。『荒涼たる帰宅』

普段声をあらげることのなかった高村がちえこが弱っていき、
明日を知れない状態で編集と打ち合わせをしていたときに
カフェにいた客をどなりつけたりしています。

自分はちえこがいなくなってしまったらどうしたらいいのか・・・。
年の差もあり、ちえこを童女の心を持つ清らかさだと大変かわいがっていました。

そして、ああなるほど、と感嘆したのは高村がちえこに書いた最初のラブレターです。
ちえこには婚約者らしきものがいたのですが高村はちえこを懸想しており、
ちえこにこんな手紙を出しています。

以下抜粋
「いやなんです。あなたがお嫁にいくことがいやなんです。」

2回いった!
これを読んでちえこはお嫁にゆくことをやめるわけですね。

安全圏からものを言って人の心を動かすことはなかなかできない。
そこを実感するんです。この人には。

このふたりの場合、高村はちえこがそばにいるなら何もいらない人であった。
そしてそれをストレートに伝えるわけです。実際ほかのものはぶんなげちゃうんです。
何も捨てない人は何も得られないのです。

この頃の文豪というのはモテます。高村は主には彫刻家ですが、
長身の男前、ロダンに傾倒していたインテリで女性に縁がなかったわけではないのです。

そういう人が、後先考えず自分のことだけ想っているのですね。
そしてそれをなりふり構わず示す。ちえこが心を動かされたのは納得です。

そのちえこへの想い。

ちえこの体がなくなって言葉を交わせなくなってからの高村が
俗世と離れ、宮沢賢治を頼りに岩手にやってきた。

それがこの山荘なんですねー。

「雪は降らねばならぬやうに降り、一切をかぶせて降りに降る。」

確かにこの小屋で7年暮らしたのか・・・というような造りです。
・・・ボロボロです。岩手も雪深い地方だというのに。

高村が吹っ切れたのは『智恵子抄』(ちえこしょう) からだと思います。

彼の詩の有名な一節。
「あなたは万物となってわたしに満ちる」
これは、風もちえこ、陽の光もちえこ、虫も、雪も、すべてがちえこである、との言葉です。
オゾンの映画、「まぼろし」でも使われてましたね。

あなたの体はなくなってしまったけれど、こんなにもあなたは傍にいるんだね。
うふふあははちえこちえこ。だからこそ7年山奥でちえこだけを感じて暮らしていたのでしょう。

わたしと娘は、ああ・・・ここがそうなんだ、と感慨深い気持ちで山荘を見つめました。
高村の文学はちえこ無しでは考えられない。

ちえこがいなくなった悲しみから、すべてがちえこであると思う過程に、その背景をみるのです。

そんな気持ちでしっとりしながら
このまま体もしっとりしようよ、と花巻温泉郷へ向かいました。

うちらこのままじゃエコノミー症候群だよ。やばいやばい。
今日はふとんに寝れるね!なんてウキウキですわ。温泉もよさそうだし~。


ということで次回は花巻温泉郷へ
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